不良を、
日本に持ち込まない。
Inspection Standards & Defect Rates — AQL Explained.
中国での生産で最も後悔が大きいのは、納期遅れではなく品質の行き違いです。 納期は取り返せますが、日本に届いた不良品は、検品し直して送り返すしかありません。 そしてその多くは、工場の技術力の問題ではなく、 「何を、どの基準で、いつ見るか」を決めていなかったことに起因します。
このページでは、検品の3つの方式、AQL(合格品質水準)の読み方と具体的な判定表、 素材から梱包までの6つの検査ポイント、検針や品質表示といった日本向けの追加要件を整理しました。 発注前に検品条件を取り決めるための材料としてお使いください。
検品には、
3つの方式がある。
中身は、3つに分かれる。
見積もりに「検品込み」と書かれていても、その中身は同じではありません。 どの方式かによって、コストも、日本に届く不良の量も変わります。 発注前に、必ず方式を特定してください。
| 方式 METHOD | 何をするか | 利点 | 欠点 | 向く場面 |
|---|---|---|---|---|
| 全数検品 100% INSPECTION |
1着ずつ、すべてを検査します。 | 不良品が日本に届く確率を最も低くできます。 | 工数が枚数に比例して増え、コストが高くなります。少量ほど割高です。 | 高単価品、ブランドの主力商品、初回の取引 |
| AQL抜き取り検品 AQL SAMPLING |
ロットから統計的に決められた数のサンプルを抜き、合格/不合格を判定します。 | 国際標準(ISO 2859-1/GB/T 2828.1)に基づく、客観的な合否判定ができます。 | ゼロにはできません。不良率の上限をどこに置くかを、自分で決める必要があります。 | 量産ロット全般、定番品の継続発注 |
| 検品なし(工場の自主判断のみ) NO INSPECTION |
出荷前に第三者の目を入れずに出荷します。 | 費用は最も安く、納期も最短です。 | 不良が日本到着後に判明し、返品・手直し・廃棄の判断を迫られます。 | 推奨しません(明確な信頼関係がある場合を除く) |
AQLの読み方。
先に決めておく。
AQLとは、「この不良率までは合格とみなす」という、あらかじめ決めておく水準のことです。 ロットの大きさとAQL値が決まれば、抜き取るサンプル数と、合格・不合格を分ける不良数の境目が 国際規格(ISO 2859-1/中国では GB/T 2828.1)によって自動的に決まります。
下の表は、日本向けアパレルで最もよく使われる AQL 2.5・検査水準II・1回抜き取りの判定基準です。
| ロットの大きさ LOT SIZE | 記号 | 抜き取る数 | 合格(不良がこれ以下) | 不合格(これ以上) |
|---|---|---|---|---|
| 91 〜 150枚 | F | 20 枚 | 1 個 | 2 個 |
| 151 〜 280枚 | G | 32 枚 | 2 個 | 3 個 |
| 281 〜 500枚 | H | 50 枚 | 3 個 | 4 個 |
| 501 〜 1,200枚 | J | 80 枚 | 5 個 | 6 個 |
| 1,201 〜 3,200枚 | K | 125 枚 | 7 個 | 8 個 |
| 3,201 〜 10,000枚 | L | 200 枚 | 10 個 | 11 個 |
| 10,001 〜 35,000枚 | M | 315 枚 | 14 個 | 15 個 |
※ 例:300枚のロット(AQL 2.5)なら、50枚を抜き取って検査し、 不良が3個以下なら合格、4個以上なら不合格という判定になります。 軽微な欠点には AQL 4.0 を併用する組み合わせも一般的です。 この数値を発注前に取り決めておくことが、後の認識ずれを防ぎます。
検品は、
6か所で行う。
各工程で見る。
検品を「出荷前の1回」にまとめると、不良が見つかっても手直しの時間が残りません。 工程ごとに区切って検査することで、手戻りを最小化できます。 当社はこの6か所で、写真付きの報告を行っています。
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01
素材入荷時(検反)
生地の傷、色ムラ、幅のばらつき、目付の誤差を確認します。ここで素材の不良を止めれば、縫製後の手戻りはゼロになります。裁断に入ってから見つかると、裁断済みのパーツがすべて無駄になります。
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02
裁断後(裁断検査)
型紙どおりに裁断されているか、パーツの枚数が揃っているかを確認します。サイズ展開がある場合は、各サイズの寸法を実測し、サイズ表と突き合わせます。ここでの誤差は、縫い上げ後の寸法不良に直結します。
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03
縫製中(中間検査)
最初の10着のうち数着を抜き、縫製の立ち上がりを確認します。「縫い始めが合っていれば、後も合う」のが原則です。縫い代の始末、ステッチの幅、付属品の位置を確認し、ここで承認してから量を流します。
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04
仕上げ後(最終検査)
AQLまたは全数で、寸法・外観・縫製・付属品を検査します。糸切り、縫いずれ、シミ、ボタンの緩み、ファスナーの動作などを実際に確認します。検品報告書には、不良の種類ごとの件数を記録します。
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05
検針・金属検査
すべての製品を金属探知機に通し、縫い針・ミシン針の破片が残っていないか確認します。日本向けでは必須の工程です。検針済みであることを示すタグの添付も可能です。
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06
梱包前(数量・表示の確認)
サイズ・色別の数量、下げ札(値札)の内容、洗濯表示・組成表示の記載、ポリ袋の警告表示を確認します。日本向けは家庭用品品質表示法の表示義務があるため、タグの文言まで確認します。
日本向けには、
表示の確認も要る。
販売できない。
品質表示(組成・洗濯絵表示)
家庭用品品質表示法により、組成と洗濯表示は日本語で表示する義務があります。縫い付けタグの文言・記号・順序まで、日本側で確認しましょう。中国側で作った表示が日本の様式と異なることがあります。
下げ札(値札)の内容
品番、サイズ、価格、素材、原産国、取扱い注意。日本の小売と取引する場合は、JANコードや社内品番の記載も求められます。下げ札は別納品にして、日本側で付ける方式も選べます。
ポリ袋の警告表示
乳幼児が袋をかぶる事故を防ぐため、一定サイズ以上のポリ袋には警告文の表示が義務付けられています。この表示が抜けていると、そのままでは店頭に並べられません。
検針タグ
金属探知機を通過したことを示すタグやピン留め。「検針済」の表示は、日本側の受け入れ時の安心材料になります。検針の記録を数量とともに残しておきます。
サイズ表記の統一
日本サイズ(S/M/L)と中国サイズは基準が異なります。どちらの基準で作るのか、最終製品の実寸がどの数値になるのかを、タグに反映させる必要があります。
梱包の単位と方法
サイズ別・色別のアソート(詰め合わせ)数、1カートンの入数、カートンラベル。小売の入荷業務に直結するため、日本側の希望を最初に伝えておくと、到着後の手間が減ります。
よくある、ご質問。
ところ。
Q01 AQLとは何ですか。簡単に教えてください。
AQL(Acceptable Quality Limit/合格品質水準)とは、「この不良率までは合格とみなす」という、あらかじめ決めておく基準のことです。ロットから統計的に決められた数のサンプルを抜き取って検査し、見つかった不良数が基準以内なら合格、超えれば不合格と判定します。国際規格のISO 2859-1(中国ではGB/T 2828.1)で、ロットの大きさとAQL値からサンプル数と合否の基準が細かく定められています。感覚や交渉ではなく、数値で合否を話せる点が最大の利点です。
Q02 アパレルでは、AQLはいくつに設定するのが一般的ですか?
日本向けのアパレルでは、AQL 2.5(検査水準II)が最も一般的です。たとえば300枚のロットなら、サンプル50枚を抜き取り、不良が3個以下なら合格、4個以上なら不合格という判定になります。これを「主要欠点(致命的・重欠点)」に適用し、軽微な欠点にはAQL 4.0を適用する組み合わせもよく使われます。重要なのは、発注前にこの数値を取り決めておくことです。後から基準を出すと、認識のずれが生じます。
Q03 全数検品とAQL抜き取り検品は、どちらを選ぶべきですか?
初回の取引、高単価の商品、ブランドの主力商品には全数検品をおすすめします。逆に、継続取引で品質が安定している定番品や、ある程度の数量があるロットでは、AQL抜き取り検品でコストを抑えるのが合理的です。当社では、AQLによる抜き取り検品に、縫製の重要部位(衿・袖付け・ファスナーなど)の全数確認を組み合わせる方式もご提案しています。
Q04 検針(金属探知)は、必ず必要ですか?
日本向けでは事実上必須と考えてください。縫製工程で折れたミシン針や縫い針の破片が製品に残ると、着用者を傷つける重大な事故になります。当社では全数の検針を行い、検針済みを示すタグの添付にも対応しています。この工程を省いている工場は、日本向けの経験が乏しい可能性があります。
Q05 不良率は、どのくらいが普通ですか?
AQL 2.5で運用している場合、想定している不良率の上限は概ね2.5%以下です。ただしこれはロット全体の平均であり、実際にはアイテムの複雑さで変わります。カットソーなどのシンプルなアイテムは1%以下に収まることも多く、ジャケットやダウンなど工程の多いものは3〜5%になることもあります。重要なのは、不良率を下げるのと同時に、不良を「出荷前に見つける」体制を作ることです。
Q06 検品で不良が見つかった場合、どうなりますか?
当社では、不良品は全数手直ししてから出荷します。ロット全体の不良率が基準を超えた場合は、①全数再検品と手直し、②該当分の作り直し、③数量の減額——いずれかを協議して決めます。判定の根拠として、不良箇所の写真と検品報告書を必ずお渡しします。日本到着後に発見された不良についても、内容を確認のうえ対応しますので、写真を添えてご連絡ください。
Q07 検品報告書には、何が書かれていますか?
ロット番号、検査日、検査数量、抜き取り数、検査項目ごとの不良数と不良率、合否判定、そして不良箇所の写真を記載しています。アイテムごとに検査項目をカスタマイズできるため、日本側で重要視している部位(例:丈の寸法、衿の開き、縫い代の始末)を最優先項目として指定することも可能です。
検品体制のご相談も、
承っています。
「現在の取引先の検品基準が妥当か知りたい」「AQLをどう決めればよいか」—— そうしたご相談だけでも構いません。依頼品に合わせた検査項目表も作成します。
QRコードをスキャンして、微信(WeChat)でもご相談いただけます。